第2章 ソルブの進め方 - 最少手数競技入門 by Sebastiano Tronto 第三版
ソルブの進め方
Per Kristen Fredlund1の言葉を引用すれば、一般的なソルブの進め方は次の通りです。
もっと次のように考えるのです。キューブを二段階で解くのだ、と。
一段階目では、可能な限り多くのピースを、可能な限り効率的に解きましょう。(つまり、よいスケルトン2を作りましょう)
二段階目では、未完成のピースを正しく揃えましょう。多くの場合、スケルトンにインサートをするアルゴリズム3を使います。4
これは一般的なアプローチですが、常にこうする必要はありません。たとえば、F2LでブロックビルディングをしてLast Layerアルゴリズムをやるだけでスキップを引いて、とても短い解答が見つかることも時にはあるでしょう。これとは違うやり方もあり、そのうち二つは第四章で解説します。
この記述があまりにも一般的すぎるように見えても、これ以外に書きようがないのです。FMCで常によい記録を出せるような標準的な解法はありません。チャンスを逃さないためには、いつでも可能な限り多くの戦略を試してみるしかありません。
ここではFMCで用いられる基本的なテクニックをいくつか記載します。前の章で書かれた解法を練習しているなら、すでにいくつかは学んだことがあるでしょう。この章を読み進めていくと、他の解法も学ばなければならないかもしれません。詳細に解説していくものもあります、単にさらなる学習のためのチュートリアルへのリンクを書くだけに留めるものもあります。
2.1 ブロックビルディング (Blockbuilding)
ブロックビルディングはFMCにおける最重要のテクニックでしょう。簡単なコンセプトですが、しっかり習得するにはたくさんの練習が必要です。前の章で書いたような、ブロックビルディングの考え方に基づく解法(Petrus、Roux、Heise、ZZ)を練習することで直接的にブロックビルディングのスキルを成長させることができます。
ここではいくつか基本となるテクニックで便利なものを並べてみましょう。一つ目はRyan Heiseのウェブサイト (https://www.ryanheise.com/cube)から取ってきたものです。ウェブサイトには実例がたくさんありますから、是非見てみましょう!
2.1.1 並べて、つなげる(Align then Join)
ソース:http://www.ryanheise.com/cube/align_join.html
基本テクニック:コーナーとエッジのペア(最も簡単なブロック)を作るためには、まず整列(align)して、一手でつなげられるようにしなければなりません。
さらに一般的に言ってみると、この考え方は2x2x1よりも大きなブロックを作るときにも適用できます。たとえば、コーナーとエッジのペアと、2x2x1の四角を合わせて3x2x1ブロックを作りたいときなどにも使えます。
こういう言い方をすると平凡なことを言っているように見えますが、重要なことは二つのピースがいつ整列しているかを認識しておいて、それを一手でつなげることです。 こうすることで、あるムーブによって2つのピースをつなげることができるかどうかを将来的に判断できるようになります。
並べて、つなげる(Align then Join) - Example
L2 //Align U2 //Join
上記の例では、二つのペアがすでにできています。L2 U2
と回すことで青-赤エッジと青-赤-黄コーナーがペアになります。
訳注:L2
と回すことで青-赤エッジがB面の青センターと合うことを、ここでは整列(align)すると言っています。日本語では「センター合わせ」「エッジセンターペアに合わせる」と言うこともあります。
2.1.2 別のところに持っていく (Move it out of the way)
ソース: http://www.ryanheise.com/cube/move_it_out_of_the_way.html
ブロックを作りたいけれど、そのために必要なムーブが別のブロックを壊してしまうということがあるでしょう。そうしないために、動かしたくないピースをあらかじめ別の場所に動かしておきましょう。一つの方法として、まず壊したくないピースを先に動かして、壊れないように保存しておくことができます。そして、必要なら後で元通り戻すことができます。
別のところに持っていく (Move it out of the way) - Example
U2 R2 D R2 //2x2x1の四角ができる U' //赤-白-青のペアを別のところに持っていく F' D' //四角を拡張して2x2x2を作る
もし2x2x1ブロックを作ったあとすぐにF' D'
と回したとしても、同じ2x2x2ブロックを作ることができます。しかし、赤-白-青のペア壊してしまうことになります。ただし、念のため補足しておきますが、このケースでは「別のところに持っていく」は最高のアイディアではないかもしれません。赤-白-青のペアを保存する過程で、黄-橙-青ペアを壊してしまっています!
2.1.3 壊して元通りにする (Destroy and Restore)
ソース: http://www.ryanheise.com/cube/destroy_restore.html
この問題を解決するための別の方法とは、一時的にブロックを壊してから、あとで元通りつなげるというものです。同様に「別のところに持っていく」テクニックを使います。
基本的な例として、R U R' U'
の「スクランブル」をした状態を考えましょう。
U R U' R'
という手順で元に戻りますが、これを知らないふりをして、Last Layerの状態も無視してください。最初の二段目だけを見ると、R'
することで既にできたペアをF面にある別のピースの隣に動かせることがわかります。しかし、既に完成している別のF2Lスロットを壊してしまいます。このとき、次のように「壊して元通りにする」ことができます。
壊して元通りにする (Destroy and Restore) - Example
R' //既にできているペアを「壊す」 F //「別の所に持っていく」 R //「元通りにする」 F' //Fをして動かしたピースを戻す
2.1.4 キーホール (Keyhole)
単独の解法として既に書いたことですが、キーホールはブロックを作るための戦略のひとつと見なすことができます。このテクニックの本質は未完成であるキューブの一部を活用してほかのピースを揃えることです。キーホールF2Lの練習をうまくやっていれば、私が言わんとしていることを理解するのに実例を出す必要はないでしょう。しかし、念のためにキーホールの例を書いておきます。
キーホール - Example (出典:Edoardo Disarò)
F' L' //コーナーが一つない一面が完成 F2 L' B' L //キーホール F U' B U //キーホール、偶然にも最後のコーナーが揃う F' R' B2 R //キーホール F B L B L' //F2L B' //LL
2.1.5 一つのムーブ、二つのゴール (One Move, Two Goals)
一つのムーブで二つのブロックを作ることができる場合は多くあります。一般的に言えば、キューブを回す上で「二つのことを同時にやる」ことができます。次の実例を見ることでよりはっきりとわかるでしょう。
Example (by Mirek Goljan and Guus Razoux-Schultz)
L U' F2 D' //2x2x2 (4/4) U2 B R2 B //疑似F2L-1 (4/8) F' * U F R U2 R' //疑似F2L (6/14) U2 R2 //3コーナー以外完成 (2/16) * = B' U F2 U' B U F2 U' //Last 3 corners (8-5/19)
もしあなたがインサーションについてまだわかっていないなら、最後の行は無視してください。今回注目すべきは最初の行、特にF2
をしているところです。この一手でDFに2x2x1ブロックを作り、同時に橙-緑エッジを合わせています。次の一手で2x2x2ブロックができるようになりました。
このような状況は偶然に生まれることがありますが、そうでない場合でも「どう認識するものなのか」を知っておくと役に立つでしょう。
2.1.6 あとのステップに影響を与える(Influence Later Steps)
F2Lを完成させるときにLLに影響を与える点についてはすでに(少しだけ)話しました7。このアイディアはブロックビルディングにも適用できます。つまり、ブロックを準最適(sub-optimally)8に作っておくか、あるいは「不要な」ムーブを加えることで後の繋がりをよくしたり、簡単にブロックを作ったりすることができます。
たとえば、次のスクランブルを考えてみましょう。
あとのステップに影響を与える - Example
L2 B R B //2つの 2x2x1 ブロック
見てわかるように、L2 R B
で赤-青-白の四角を作ることができますが、L2 B R B
と一手加えることで、四角が二つになります。
2.1.7 EOに気をつけよう (Pay Attention to EO)
ここでいうEOとはエッジの向き(Edge Orientation)を略したものです。
複数の異なる解法を学ぶなかで既にお気づきの方もいるかもしれませんが、Edge Orientationというのは再帰的なステップなのです。前述のように、Bad edgeが多ければ多いほど、解くのは困難になっていきます。通常、ソルブの最後に最後にエッジの向きをそろえることは、効率的ではありません。ZZでそうするように、まず最初にエッジの向きを揃えることが手軽ですが、ブロックビルディングのフェイズで制約が増えることになります。
部分的にでも、Edge Orientationをブロックビルディングの途中で終わらせるのが良い方法です。ZZやPetrusなどの解法に習熟すると、数手動かしたあとでエッジの向きが正しいかどうかを簡単に判定できるようになります。もしまだ判定ができないのだとしても、FMCにおいてはいつでも望むときに戻って修正できるということを忘れないでおきましょう。つまり、EOがうまくいかないときには、前に戻って、何手か加えたり変えたりして、よい方向に進むかどうかを確認すればいいのです。(2.6.1節もご参照ください)
訳注
ここでいうEOに注目したアプローチを「EOファーストアプローチ(EO first approach)」ということがあります。João Pedro Batista Ribeiro Costa(世界大会2015のFMCチャンピオン)やGrzegorz Łuczyna(ヨーロッパ大会2010のFMCチャンピオン)、Sébastien Auroux(世界大会2011のFMCチャンピオン)などの著名なキューバーは、ほとんど常にEOファーストアプローチを使うようです。原著者のSebastiano Trontoも非常によく使うということが第二版には記載がありました。EOファーストアプローチについては、2.5節に詳細が書かれています。
2.1.8 どのブロックを作るべきか? (Which Block Should I Build?)
様々な状況を活用せよ、ということが黄金律です。つまり、2x2x2ブロック、3x2x1ブロック、2つの2x2x1の四角、ほかの様々なブロックから始めることができます。全ての可能性を試しましょう。
可能な2つのアプローチとしては次のようなものがあります。
- 2x2x3やF2L-1のような大きなブロックを作ろうとする
- 小さなステップで前に進み、たくさんの小さなブロックを作って最後につなげる
Erik Jernqvistは「よいスタート」を切るための指標として、次の手数の表を作りました。9
ブロックの種類 | 手数 |
---|---|
2x2x1四角+コーナー/エッジペア | 3 |
2x2x2ブロック | 4 |
2つの2x2x1四角 | 5 |
2x2x3ブロック | 9 |
F2L-1 | 14 |
F2L | 17 |
個人的には、この表の手数はちょうどよい推計だと思います。特に最初の3つについて当てはまります。しかし、よいスタートを切れたかどうかはその後のつながりがどうなるかにかかっているということを覚えておかなければなりません。もしF2L-1が12手でできたけれど、bad edgeが4つも残っていて、最後のF2Lのエッジが反転して入っているとしたらどうするでしょう。すぐに投げ捨てるだろうと思います。一方で、全てのエッジの向きが揃った2x2x3ブロックが12手でできたならもっとよいでしょう。もちろんEOだけが考慮すべきことではありませんが、最も重要なものの一つです。
もう一つのルールは決してLast Layerに影響を与えずにF2Lを完成させてはならない10ということです。理由は単純です。つまり、Last layerが悪い状態であるなら、どんなに多くのアルゴリズムを知っていたとしても多くの手数が必要になります。また、F2Lを完成させてしまうことはキューブ全体を操作する自由度が減るということです。一方で、F2L-1を目指すことは良い部分解です。これは、多くのピースが既に配置されているにも関わらず、より多くの自由度があるからです。
2.1.9 既にブロックがある:どうすればいいか?(Ready-Made Blocks: How to Deal with Them?)
キューブをスクランブルしたときに既にいくつかブロックができていたり、最初の何手かで意図せず新しいブロック(コーナーとエッジのペアなど)ができてしまったりすることがあります。こういうときは、元々考えていたやりかたを続けるよりも、できてしまったブロックを活用するのが望ましいです。どうやって?3つの方法があります。
- まず既にできているブロックを拡張する (当たり前のことです)
- 既にできているブロックを拡張するが、他のピースも同時に見ながら同時に別のブロックができるようにする (これが最良の方法です)
- 既にできているブロックを拡張せず、できればそれを壊さずに新しいブロックを探す
さらに言うなら、保存する価値があるブロックなのかを理解することはとても重要で難しいことです。新しいブロックを作るためには既存のブロックを壊す必要があります。個人的には、ブロックを「諦めて」「捨てる」ことはとても難しく、同時にトラブルのもとになります。タイムマネジメントをする上ではなおさらです。
2.1.10 速くなるためのコツ、高度なテクニック(Tricks to Get Fast and Advanced Techniques)
「速くなること」はスピード解法のような意味ではなく、「よいブロックビルディングを速くやること」という意味です。よいスタートを速く見つけることはとても重要です。そうすることで時間が節約できます(1時間はそんなに長くありません!)し、全ての将来有望なスタート地点を探して見つけるべきです。見つけられないにしても、気付くべきです。
最も簡単なブロックはコーナー/エッジのペア(2x1x1ブロック)です。スクランブル後に何も動かさなくても、一つできていることもあるでしょう。もし一つでも(二つ以上でも)あったなら、2.1.9節で書いたように、これをうまく使ってもよいでしょう。もし一つもなかったとしたら、見えるところにあるもので一手でペアになるものを認識できるようにしましょう(2.1.1節を参照)。もしまだすぐにわからなくて、楽をしようとするなら11、「総当たり戦略」をやってみるのもよいでしょう。つまり、すべての可能なムーブ試すのです。U
、U2
、U'
と順番に試してから、次にR
、R2
、R'
と続けていき、ペアができたかどうかを確認すればいいのです。
もっと高度で役立つテクニックがあります。検討する時間はかかりますが、全ての可能な2x2x2ブロック(8通り)をチェックするとよいでしょう。やり方はこうです。全てのコーナーピースについて、一致するエッジを3つ全て探して、どうすればつなげて2x2x2ブロックが作れるかを考えます。実際に動かして「テスト」しないようにすることで、再度スクランブルせずに他のコーナーについても同じことを繰り返すことができます。通常、非常に悪い2x2x2ブロック(とてもたくさんの手数がかかる)を見つけたとき、私はそれを無視して次に進みます。このテクニックを使うことで、全てのピースがキューブのどこに位置しているかということがわかり、さらに最適な2x2x2ブロック(これはよいスタートになることが多い)を見つけられるようになるでしょう。
実際にキューブを回さずに2x2x2ブロックを作るムーブを考えることは他にもよい意味があります。より速く上手にブロックビルディングできるようになるためには、実際の動きを見ずにピースの動きを「頭の中で計算できる」ようになる12ことが大切です。
Alexander Lau (2014 年のヨーロッパチャンピオンであり、Rouxメソッドの達人)は15秒間のインスペクションタイムで3x2x1ブロック(Rouxの最初のステップ)を読むことができます。この読みは非常に正確で、ブロックを作りながら先読み(look-ahead)をして、Second Block(の一部)を読むことができるようです。
この先を読む能力は次のようなゲームでトレーニングすることができます。
友人にキューブを3手13でスクランブルしてもらってから、それを受け取ったら3手の解答を探しましょう。これは簡単なはずです。次に4手をやってみる、5手に増やす、という風に続けます。あなたのレベルによりますが、6手、7手、8手と行くにつれて難しく感じていくでしょう。続けていくうちに9手や10手のものでも苦労なく解けるようになりましたか? おめでとうございます!
訳注:
この「詰めキューブ」問題は非常に難しいので、9手や10手のものが苦労なくできるというのはかなりのレベルです!Sebastiano Trontoにとっては簡単なのかもしれませんが…。
本チュートリアルの巻末には、Retoによる詰めキューブの問題がいくつか収録されています! 日本国内では、うえしゅう氏による詰めキューブ生成のサービスがあり、3手から14手までの詰めキューブの問題をランダム生成して楽しむことができます。(Retoの問題も含まれています)
自分で面白い詰めキューブの問題ができたら、詰めキューブスクランブル生成器でスクランブルを生成して、知り合いのキューバーに問題を出してみましょう!
2.2 よいスケルトンを見つけよう(Find a Good Skeleton)
F2L-1など、ブロックビルディングがうまくいきそうなところまで到達したなら、上に書いたようなテクニックを使って進めるのは難しくなるでしょう。次なるゴールは「スケルトン」と呼ばれるものを見つけることです。
これは何かと言うと、いくつかのピースが未完成な状態のままである部分的な解法のことです。数あるスケルトンの中で最も良いのは、3つのコーナーだけ残って3-cycle14で交換できる状態ですが、4つや5つのコーナー、3つのエッジが残る場合も悪くありません。この良し悪しはスケルトンを作るのに何手かかったかによって変わります。
次にやることは何でしょう。これまで見てきたブロックビルディングのテクニックを、既に作ったブロックを壊さずに使うことができるでしょうか?まずHeiseを参照してみるのがよいでしょう。これはHeiseメソッドのステップ3を見よ、という意味でもありますし、彼のウェブサイトという意味でもあります。特にウェブサイトの「2つのペアによるアプローチ」に記述があります。http://www.ryanheise.com/cube/two_pairs.html
Heiseのステップ3はF2L-1だけでなく、全てのエッジの向きが揃っていることを仮定しています。もし揃っていないなら、次のようなやり方があります。
- まずエッジの向きを揃える。手数が非常に少なくない限り、非推奨。
- 既にやった手順を修正して、全てのエッジの向きが最後に揃うようにする。
- スケルトンを完成させるときにエッジの向きを揃える。
まとめると、よいスケルトンを作るための可能なアプローチはたくさんあます。この場合の最も良い方法は、オンラインでFMC熟練者のソルブ例を見ることです。オンラインで例を探すのはいい習慣です。熟練者のソルブを見るとわかりますが、ほとんどの場合、スケルトンを作って解いています。熟練者のソルブは、たとえばオンライン大会の記録やspeedsolving.comのフォーラムで見つけることができるでしょう。
さらに深く考える練習も役に立つでしょう。qqTimer (http://www.qqtimer.net/)では3x3x3のスクランブルのサブセットとして、Last SlotとLast Layerを選ぶことができます。
当たり前のことですが、スケルトンを完成させる前にF2L-1を作ることは必須ではありませんが、これが最も簡単であることが多いです。どんなケースでも、偶然にLast Layerのピースで小さなブロック(ペア、2x2x1など)ができたなら、残しておきましょう。
2.3. コミュテータ(COMMUTATORS)
speedsolving.comの定義15によれば、コミュテータとは次のような形で記述する手順です。
A B A' B'
A
とB
はそれぞれ手順を示す配列で、X'
はX
という手順の逆手順(inverse)16です。このようなコミュテータは次のような記法で短く書くことができます。
[A, B]
コミュテータの名称や記法は数学、特に群論から来たものです。たとえばWikipediaの記事をご覧ください。https://en.wikipedia.org/wiki/Commutator
訳注:
数学用語としてのコミュテータは、日本語では交換子(こうかんし)と書かれます。しかし、キューブ用語としてはコミュテータあるいはコミュテーターとして定着しているため、ここではカタカナで記載します。
詳しくは「交換子 - Wikipedia」をご参照ください。
たとえばA=R
、B=U
であると考えると、「セクシームーブ(sexy move)」がコミュテータであることに気づくでしょう。
[R, U]
= R U R' U'
A=R
、B=U' L' U
と考えると、「Niklas」手順になります。
[R, U' L' U]
= R U' L' U R' U' L U
慣習として、「コミュテータ」は「3点の巡回交換(3-cycle)を解くコミュテータ」として使われることが多いです。なので、たとえば「セクシームーブ」は通常コミュテータとみなされませんが、「Niklas」はコミュテータとみなされます。この先も、この慣習に従って使っていきます。
「コミュテータとは何か」という点については、WRCCやTRCCのFMC解説記事のなかにわかりやすく記述されています。簡単に言うと、FMCにおいては任意の3点だけを8手で自由に入れ替えることができる手順のことです。これが8手では実現できない場合もあります。詳細は下記の記事を参照してください。
FMC解説 - 7. Commutator (WRCC)
4. ピュア・コミュテーター - 東京大学ルービックキューブサークル
2.3.1 コーナーコミュテータ(Corner Commutators)
コーナーコミュテータはFMCにおいて最も役に立つコミュテータです。既に「Niklas」というコミュテータを見ました。PLLのA permであるR2 B2 R F R' B2 R F' R
という手順も、(ほぼ)コミュテータです。
R2 B2 R F R' B2 R F' R
= R2 [B2, R F R'] R2
ここではR' R2
という配列がキャンセル15してR
になっています。
組み合わせが変わる3つのコーナーは同じ面にある必要はありません。[L D' L', U2]
= L D' L' U2 L D L' U2
という手順も3-cycleです!
全ての種類のコーナーコミュテータ(このチュートリアルでは解説しません)を学ぶなら、Speedsolving.comのBrian Yuのチュートリアルを見てみるとよいでしょう。文書と動画での解説があり、どちらも非常によくできていましたが、残念ながら動画にはアクセスできなくなってしまいました。
FMCをやる上では、8手の「ピュアコミュテータ」だけを覚えればいいでしょう。たとえば、Niklasはピュアコミュテータですが、A permは違います。必要ならA9やほかのケースを見てください。しかし、インサーションのところでも話しますが、FMCにおいてはピュアコミュテータ以外はほとんど必要ありません17。
ごく稀に、10手の「スレッジ・インサーション」のコーナーコミュテータ([R' F R F', D2]
)が役に立つことがあります。これは8手のコミュテータを使うよりも多くのキャンセルができる場合があるからです。
訳注:
上記のBrian Yuのチュートリアルにおいては、コミュテータの種類として次のものを上げています。8手のものがピュアコミュテータです。ここでは、A9(9手コミュテータ)以上のコミュテータを覚えても、FMCではあまり使わない、ということを言っています
Pure (8 moves)
A9 (9 moves)
Orthogonal (10 moves)
Cyclic Shift (10 moves)
Columns (11 moves)
Per Special (12 moves)
訳注:
「ピュアコミュテータ以外はFMCにおいてはほとんど必要ない」ことの例外として、Tomoaki Okayama (岡山友昭)による実例が脚注に上げられています。ここではF2 (R F' L2 F R' F' L2 F) F2
という、F2
セットアップして1手キャンセルする9手のインサーションをしていますが、8手のピュアコミュテータによるインサーションがまったく見つからないという状況が議論されています。
2.3.2 エッジコミュテータ(Edge Commutators)
コーナーコミュテータを学んだら、エッジコミュテータの仕組みを理解するのも難しくないでしょう。たとえば次の例を見てみましょう。
[U R U', M']
= U R U' M' U R' U' M
残念ながら、上記のようなコミュテータがよい結果につながるのはごく稀です。その理由はM列を使うので、2手として数えられてしまうからです。
全ての人が知っておくべきエッジコミュテータは
[M', U2]
= M' U2 M U2
(DF->UB->UF)
です。これはセットアップすることでとても役立ちます。たとえば、次のような形です。
[U: [M', U2]]
18 = U M' U2 M U2 U'
= U M' U2 M U
公式大会においては中層回転(スライスムーブ)を書くことはできませんから、[M', U2]
のコミュテータは次のように書きます。
M' U2 M U2
= R' L x U2 R L' x' U2
= R' L F2 R L' U2
最初のR' L
というムーブは交換可能であることがわかると思います。このことは全ての並行な(つまり対面にある)ムーブについて言えます。
もう一つ知っておかなければならないのは、最初の2手は交換したい3つのエッジにまったく影響を及ぼさないということです。なので、R' L F2 R L' U2
はL F2 R L' U2 R'
、F2 R L' U2 R' L
、R' F2 R L' U2 L
と等しいのです。
訳注: [M', U2]
はDF->UB->UFの3点を交換するコミュテータです。
特に、この性質はキャンセルを探しているときに役に立ちます。コミュテータの最初のムーブと、後続のムーブの逆手順とを対応させることでキャンセルが起きます(あるいはその逆もあります)。一般的にはコミュテータでなくともこのような探索を使うことができます。
2.3.3 その他のエッジ3-cycle(Other Edge 3-cycles)
中層回転を使わないエッジの3-cycleもあります。実際にはコミュテータですらないものも含まれます!HTMで8手の例を2つ上げましょう。
R2 Fw2 R2 U R2 Fw2 R2 U
= R2 B2 L2 D L2 B2 R2 U
R2 Fw2 R2 Uw R2 Fw2 R2 Uw
= R2 B2 L2 U B2 R2 F2 D
訳注: 一つ目も二つ目もDF->UF->ULを交換する三点交換です。途中のU
がUw
に変わっただけです。
一つ目の最初の2手は交換したい3つのエッジにまったく影響しません。なので、これを先ほどのR' L F2 R L' U2
と同じように「シフト」することができます。
しかし、エッジ3-cycleのジャングルはこれよりもさらに複雑なのです。たとえば、次の10手のアルゴリズムをチェックしてみましょう。
U L D R F R' D' L' U' F'
(UF->RU->RF)
さらに10手の2-gen 3-cycle19もあります。
U R U R U R' U' R' U' R'
(UF->BR->UR)
U R U R U' R' U' R' U' R
(UF->BR->DR)
U R U R U2 R' U' R' U' R2
(UF->BR->FR)
訳注:
この節は特に説明が希薄なので、訳注で補足します。
Speedsolving.comの元のスレッドでJanWが言っていることは、次のような[U R U R, X]
型と[R U R U, X]
の2種類の2-genコミュテータの計6種類を基本手順として、(目隠し解法における)エッジの3-cycleのシステムを作ろうというものです。学ぶべきアルゴリズムの数が非常に少なくなるので効率的なのではないか、という提案です。その後、どの程度使われるようになったかは正確にはわかりません。しかし、3x3x3目隠し競技のトップ層は呼吸をするようにエッジとコーナー合わせて818種類のコミュテータを使いこなす(さらに平気でバッファ移行をする)ような記憶オバケですから、あまり流行らなかったのでしょう。もしかすると、3x3x3片手目隠し競技をやりたい方にとっては2-genであることが役立つかもしれません。
[U R U R, U]
(UF->BR->UR)
[U R U R, U']
(UF->BR->DR)
[U R U R, U2]
(UF->BR->FR)
[R U R U, R]
(UF->UR->BR)
[R U R U, R']
(UF->UL->BR)
[R U R U, R2]
(UF->UB->BR)
2.3.4 ブロックコミュテータ(Block Commutators)
Ryan Heiseのウェブサイトを注意深く読んだなら、「ペア3-cycle」あるいは「ブロックコミュテータ」というものについても既にわかっていることでしょう。コーナーコミュテータについて既に知っているなら、これを直感的に理解するのは難しくはありません。たとえば次の例を見てみましょう。
[L Dw' L', U']
= L Dw' L' U' L Dw L' U
これはHeiseのステップ3でとても役立つ手順です。しかしこれは、コーナー3-cycleとエッジ3-cycleを同時に揃えることができます。たとえば、Last layerのアルゴリズムであるM F U F' U' F' L F R'
は次のように書くことができます。
[R: [L' Dw L, U']]
= R L' Dw L U' L' Dw' L U R'
これはペアコミュテータにセットアップを加えたものです。PLLのJ permも次のようなペア3-cycleとして書くことができます。
[R2: [Fw2, D B2 D']]
= R2 Fw2 D B2 D' Fw2 D B2 D' R2
2.4 インサーション(Insertions)
このチュートリアルを通じて何度も触れてきましたが、(ようやく)インサーションについて詳しく見るところに来ました。
さて、どうにかしてよいスケルトンを見つけることができたとしましょう。コーナー3-cycleを1回やれば完成するという状態です。ここで何をすればいいでしょうか? もちろんコミュテータを使ってそのまま3点交換をするとキューブは揃います。しかし、全てのケースを学んでいればわかることですが、コーナーコミュテータは最大で12手もかかります。最もいい場合では8手ですから、そこから4手も増えるのはあまりよくありません。ところが、コーナー3-cycleをほとんど確実に8手以内でやる方法があるのです!それがインサーションです。
訳注:ここではInsertionをそのままインサーションと訳しています。日本語の解説記事では「インサート」と書かれることが多いです。単純に訳すなら「挿入」「差し込み」のことです。スケルトンの中のどこかに8手の3点交換を差し込むことでキューブを完成させることができます。
2.4.1 単純インサーション(Simple Insertions)
インサーションの背後にある考え方はあまり難しいものではありません。もしあと3つのコーナーを揃えたら完成するような状態であるとき、スケルトン全体を一手ずつ見ていって、その場所に対応する8手のコミュテータを挿入すれば完成させることができます。コミュテータは対象となるピース以外にはまったく影響しませんから、3つのコーナー以外の部分(つまりスケルトン)は元々そうであったように全て完成します。そして、3つのコーナーもインサートされたコミュテータによって揃うのです!
これが3-cycleのコーナーをほとんど常に8手で解く仕組みです。では、8手よりももっと短くするにはどうすればいいでしょうか? 3つのコーナーを揃えることができるコミューテータで、スケルトンの途中にインサートできるものはたくさんあります。その中から最も多くのキャンセルが起こるものを選びましょう。通常は、3つのコーナーを揃えるピュアコミュテータ(8手)をチェックするだけで十分です。そのあとで一番いいものを選びましょう。ごく稀に、一番いいインサーションが9手(あるいはそれ以上)のコミュテータであることがありますが、そういう状況はあまり起こらないので、全ての種類のコミュテータをチェックするのはあまり意味がありません。
スケルトンを作ってから、3つのコーナーの動きを追いかけやすくするため、キューブに白いステッカー20を貼って1、2、3のような番号(あるいはA、B、Cのような文字)21を書くすることを勧めます。以前は、暗めのステッカーがある安いキューブを用意して、その上に鉛筆で書いてしまうことをしていましたが、これもよい方法でしょう。
ソルブの実例を見るともっとわかりやすくなるでしょう。次のスケルトンを安いキューブで回してみましょう。(もしステッカーを貼るなら、どんなキューブでもよいです)
単純コーナーインサーション - Example (スケルトン)
B' U' D L' F' //EO + blocks D2 L2 D' L //疑似 2x2x3 U2 R2 U' R' //疑似 2x2x1 U L' U R' U' L U2 R' L' //3コーナー以外完成
さて、ステッカーを持ってきて貼り、青-赤-黄コーナーの赤ステッカー(ULB)の上に「1」、青-黄-橙コーナーの橙ステッカー(RDB)に「2」、橙-青-白コーナーの白ステッカー(LDB)に「3」と書きましょう22。キューブを揃えて、またスクランブルしましょう。(たとえばL B2 L F L' B2 L F' L2
などで揃います)23
スクランブル後、3つのコーナーを最初からすぐに揃えることもできますが、9手かかります。(R2 F R B2 R' F' R B2 R
) なので、まずはスケルトンの最初の1手(B'
)を回してもっとよいケースがないかを探しましょう。さらに次のムーブ(U'
)24を回すと、ターゲットの3つのコーナーを8手コミュテータで揃えられます!(L2 F R F' L2 F R' F'
) もしこれを採用したいなら、最終解答は次のようになります。
B' U'
L2 F R F' L2 F R' F'
D L' F' D2 L2 D' L U2 R2 U' R' U L' U R' U' L U2 R' L'
実際に試してみて、ちゃんと揃うことを確認してみましょう。
何にせよ、もっとうまくやることができます。次のムーブ(D
)を回すと9手のコミュテータが必要であることがわかります25。この調子で何手か進んでいくと、やがてL' F' D2
までたどりつきます。ここで3つのコーナーを8手(D' F2 D B2 D' F2 D B2
)26で揃えてみましょう。しかし、これで終わりではありません。最後の1手とコミュテータの最初でキャンセルがあります!これを採用するなら、次のように書きましょう。
B' U' D L' F' D2
D' F2 D B2 D' F2 D B2
L2 D' L U2 R2 U' R' U L' U R' U' L U2 R' L'
これは次のようにまとめても同じことです。
B' U' D L' F'
D F2 D B2 D' F2 D B2
L2 D' L U2 R2 U' R' U L' U R' U' L U2 R' L'
1手少なくなりましたね! 3つのコーナーを7手で揃えることができました。
ちゃんと網羅するために、スケルトンの最後までもっとよいインサーションがないかを探してみましょう。実は、一番いいインサーションは後ろのほうにあります。
B' U' D L' F' D2 L2 D' L U2 R2 U' R' U L' * U R' U' L U2 R' L'
*
= L F' L' B L F L' B'
この書き方は、一行目の*
と書かれたところを二行目の内容で置き換えるという意味です。最終解答は次のようになります。
B' U' D L' F' D2 L2 D' L U2 R2 U' R' U L'
L F' L' B L F L' B'
U R' U' L U2 R' L'
明らかにL
とL'
でキャンセルします。なので、
B' U' D L' F' D2 L2 D' L U2 R2 U' R' U F' L' B L F L' B' U R' U' L U2 R' L'
となります。さらに説明を重ねなくても、エッジ3-cycleでのインサーションの探し方はわかることでしょう。同じことを、次のアルゴリズムで揃えられるようなエッジ2-cycleを二回繰り返すことでもできます。
M2 U2 M2 U2
R2 U2 R2 U2 R2 U2
U2 L2 D2 R2 D2 L2
ここに書いたもののほかに、様々なバリエーションがあります。シフトしてみてください27。エッジを揃えるほかのもっと発展的な方法はフリースライス(free slices)を使うことです。(3.8節を参照のこと)
最後にもう一つだけヒントを書いておきましょう。180度のムーブ(U2
など)は8手コミュテータの最初や最後にあるのは、それがインターチェンジ(interchange)である場合です。つまり、同じ面にある2点交換をしているということです。この事実がわかっていると時間を節約できます。2手以上のキャンセルを狙っているとき(これは常に狙うべきです!)、2点交換がない限り、このようなムーブは完全にキャンセルすることはないと推測できます。前後でキャンセルをするようなコミュテータだけを探せばいいでしょう。
2.4.2 複数インサーション:別々のサイクル(3エッジ、3コーナー) (Multiple Insertions: Separated Cycles (3 Edges and 3 Corners))
スケルトンは常に3-cycleだけが残ったものとは限りません。インサーションはもっと多くの(もっと長い)サイクルでも使うことができます。
既に見たように、3-cycle(コーナーとエッジ)が2回あるような場合は、ペアコミュテータ(必要ならセットアップも含めて)で揃えることができます。別のやり方は、「セクシームーブ」や「Sune」(R U R' U R U2 R'
)やその派生を使ってエッジを揃えることです。これによって必要なコーナーだけに影響を与えることができます28。これについては2.4.8節を参照してください。どのやり方も頭にとどめておくとよいですが、簡単に使えることはあまりありません。「標準的な」手法は2つのコミュテータをインサートすることです。
コーナーとエッジに番号を振ったあとで29、一手ずつ単純なインサーションを探して進んでいきますが、全ての箇所でコーナーとエッジの解法を見ていきましょう。さらにペアコミュテータとSuneもチェックします。終わったら、2つのインサーションによる最終解答を書くこともできますが、別のやり方を試してみることもできます。たとえば、コーナーコミュテータを残しておきたいけれど、もっといいエッジの交換を探したいとき、コーナーコミュテータだけをインサートした解答をまず作りましょう。ここでできたものが、3つのエッジだけが残り、数手だけ長くなった新しいスケルトンです。 ここからは単純な(エッジ)インサーションで揃えられます。他の方法もあるなかで、こうすべき理由はなんでしょうか? それは、他のコミュテータの手順の中に、エッジコミュテータをインサートするよいポイントが見つかることもあるからです。 逆に、エッジの交換をインサートしてからコーナーのインサーションをやることもできます。
次のソルブが単純な実例です。
別々の交換をインサートする - Example
B' R' * F2 U F2 //2x2x1 (5/5) R //もう一つ2x2x1 (1/6) F R U2 F R B R + B' R //F2L-1 + pair (9/15) D' B' L B L' //3エッジ3コーナー以外完成 (5/20) * = U B U' F2 U B' U' F2 //3コーナー, 4手キャンセル(8-4/24) + = R B' F D' B' D B F' R' B //3エッジ, 5手キャンセル(10-5/29)
ここでは (8-4/24)
という記法を使いました。これはインサートされた手数は8手であり、そのうちの4手がキャンセルされたという意味です。
2つ以上ある別々の交換が必要なケースについても、全く同じアプローチをすることができますが、もっと複雑になるでしょう。たとえば、6つのコーナーが残って、2つのコミュテータで揃えられるような場合です。
2.4.3 複数インサーション: 2つあるいは3つのねじれコーナー(Multiple Insertions: 2 or 3 Twisted Corners)
2つのねじれたコーナーが残ったとき、どこかで[F L' D2 L F', U2]
(12手) というコミュテータを試してみるといいでしょう。3つある場合は、U' B U' F U2 B2 D' R2 U D F' U' B
(13
手)も使えます。しかし、特に2つ目については最良ではないことが多いです。
2つあるいは3つのねじれはコーナーを揃える古典的手法は、コーナーコミュテータを2回インサートすることです。 1回目のコミュテータでは、3つのねじれたコーナー(あるいは2つのねじれたコーナーと、それ以外のコーナー)を交換するだけで十分です、通常、多くのキャンセルが見込めます。そこから先は、新しくできたスケルトンに単純なコーナーコミュテータをインサートすればよいだけです。
こうするためには、ねじれたコーナーに「X」などの記号を描いたりステッカーを貼ったりしておけばよいだけです。上に書いたような、「純粋に反転させる(pure flip)」アルゴリズムを使いたい場合は、矢印を描いておいて、どの方向(時計回り、反時計回り)に回転させるべきなのかわかるようにしておくといいでしょう。
1つめの交換が見つかったら、描いた記号を消して(単純なインサーションを探すのと同じように)1、2、3と番号を書きましょう。
2つのエッジがねじれているときにも同じことができますが、おすすめしません。エッジコミュテータはもっと手数がかかることが多いからです。
インサーションを2回行うお勧めのアプローチをするときには、次にことに気を付けてください。それぞれのピースの一つのステッカーに印をつけたとしても、印のついていない別のステッカーとのコミュテータを探してしまうことがあります。 この問題を避けるために、私はねじれたピースのすべてのステッカーに印をつけています。
2.4.4 複数インサーション:4つのコーナー(Multiple Insertions: 4 Corners)
唯一の悪いケースである、3回のインサーションが必要な4つのコーナーが残った場合は、コーナーの位置は正しいけれどねじれているという状態です。なるべくなら避けたいですが、もし避けられない(あるいはスケルトンが本当に短い)なら、前の節で書いたような1つ目のインサーションをやって、4つのコーナーがよい配置になるようにしてもいいでしょう。この状況に関しては、speedsolving.comによいディスカッションがあります30。
その他に次の3つのケースがあります。
- 1つのコーナーの場所はあっているがねじれている。他の3つのコーナーは「ねじれた3点交換」になっている。つまり、向きを考えずに位置だけを考えた3点交換。
- 2つのコーナーのペアが違いに入れ替わっており、向きが合っている。(2回のスワップ、あるいは回の2点交換)
後で話をするやり方でも解けますし、コーナーの2回スワップをエッジの2回スワップに組み替えることでも解けます。たとえば、H perm (M2 U M2 U2 M2 U M2
)に1手(U2
)加えることで、コーナーの位置合わせに変えられることがわかるでしょう。(R U R' U') x 3
(トリプルセクシー)や(R' F R F') x 3
(トリプルスレッジ)、(R2 U' Rw2 U F2) x 2
のようなアルゴリズムでも2つのコーナーペアをスワップできます。 - ねじれたコーナーの2回スワップ
これらのケースは全て2回のコミュテータで揃えらえます。 1回目で4つのコーナーのうち1つを揃えて、他の3つのコーナーに適当な影響を与えましょう。そして、1回目のインサーションで新しいスケルトンができますから、2回目では残った3つのコーナーを揃えればいいのです。
この1回目のインサーションについて、1つめのケース(場所はあっているがねじれている)ではもう一つ制約があり、「場所は合っているけれどねじれている」コーナーを1回目のコミュテータに含めなければなりません。 含めないと、2つあるいは3つのねじれたコーナーがある状態が残り、さらに2回インサートしなければならなくなります。
これを間違いなくやるために、私は次のようにコーナーに印をつけます。
- ねじれた3点交換 + ねじれたコーナー x 1 : ねじれたコーナーに「X」と印をつけます。ねじれている向きは気にしません。そして、他の3つのコーナーに1から3までの番号を振ります。このとき、ねじれた交換なので、1は2になり、2は3になりますが、3は1ではなく同じコーナーの別のステッカー31になります。これは大したことではなく、その別のステッカーに4と番号を振れば大丈夫です。
- ダブルスワップ : 最初のコーナーのペアにXと印をつけて、次のコーナーのペアにAと印をつける。
- ねじれたダブルスワップ : ねじれた3点交換には4つの番号を振る必要があり、ねじれた2点交換には3つの番号を振る必要があるので、2点交換には1から3までの番号を、それ以外にはAからCを振る。
たとえば、1つ目のケースでは、可能な「最初のサイクル」はXを3に、3を4に、4をXに、というものがあります。1->2->3->1というのはよいサイクルではなく、3点交換ではなく2つのねじれたコーナーが残ってしまいます。
素晴らしい例は次のソルブです。これは、João Pedro Batista Ribeiro Costaの南アフリカ記録のものです。解答の説明は私が少し修正しました。元々のものはプリムーブ(premove)を使っていました。プリムーブ(premove)については、次の章の3.2.2節で説明します。
João Pedro Batista Ribeiro Costaの元南アフリカ記録(SAR)
F D' + U2 * R //EO D' F' L2 //疑似 2x2x2 F2 D F2 //疑似 F2L-2 B' D B //疑似 F2L-1 F' D' F' L2 //4コーナー以外完成 * = U R D' R' U' R D R' //1つ目のコミュテータ + = L' U' R' U L U' R U //2つ目のコミュテータ
最初ほうにインサートされたコミュテータ(2つ目のコミュテータ、+)は後で見つけられたものです。2つ目のコミュテータのほうが早い段階でインサートされています。これでもまったく問題ありません!
さらに、2つのコミュテータの間でお互いに何手かキャンセルをしています。
2.4.5 複数インサーション: 5つのコーナー (Multiple Insertions: 5 Corners)
5つのコーナーが残ったケースの中で、2回のコミュテータだけで揃えられるのはピースが5点交換になっている場合のみです。それ以外のケースでは、3回のコミュテータが必要です。ただし、5つのコーナーの配置は合っているがねじれているという場合には、4回必要となります。ここでは、3回以上のコミュテータが必要なケースについては触れず、最初のケースについてだけ見てみることにします。(3回のインサーションをやってみたいときもあるでしょうけれど)
さて、こういうときに最も簡単でよく使われる手法は、4つのコーナーのとき同様に、2段階で解くことです。コーナーに1から5までの番号を振ったあと、スケルトンを最初から1手ずつ追いかけていき、3つのつながったコーナーの交換を揃えられるコミュテータがないかを探していくわけです。このサイクルは、たとえば次のようなパタンがあります。
1 → 2 → 3 → 1
2 → 3 → 4 → 2
3 → 4 → 5 → 3
4 → 5 → 1 → 4
5 → 1 → 2 → 5
当然、単にコーナーの交換をひとつだけ探すよりも時間がかかります。ここでも変わらずピュアコミュテータを探すだけで十分です。いいコミュテータが見つかるたびに、どこかにメモしておきましょう。
この1段階目が終わった時点で、見つかったコミュテータのなかから一番いいもの(一番多くキャンセルするもの)を選びましょう。次にそのコミュテータをインサートして、コーナーの3点交換だけが残った新しいスケルトンを得ます。ここからどうすればいいかはわかるでしょう。
一番いいものは一つではないこともあります。たとえば、3手キャンセルするコミュテータを2つ見つけることもあるでしょう。では、どちらを選べばいいでしょうか? 時間がないときには、適当に決めてしまいましょう。時間に余裕があるなら、両方のインサーションを試してみて、2つ目のコミュテータがよくなるものを選びましょう。
この手法を使うとき、最適な解答が見けられたかどうか、確信も持つことはできないでしょう。なので、安全を取って、1段階目で見つかった全てのコミュテータ(あるいはそのほとんど)をチェックして、2段階目をたくさん(ほとんど意味のないものも)試してみるといいでしょう。通常、これはとても時間の無駄になりますし、よい解答になることは滅多にありません。解答をもっとよくできるかどうかわからないときは、基準として「5つのコーナーの交換を10手か11手で揃えられれば満足できる結果である」ということを覚えておきましょう。
仕組みを理解するには、置換理論(permutation theory)が少し必要です。心配しないでください、本当に重要なところだけに絞ります32。
まずは、置換の標準的な記法にしたがって、ここでの交換を次のように書きます。
(1 2 3 4 5)
これはコーナー1はコーナー2になり、2は3になり…5は1になる、ということを表しています。この記法を使うとき、この交換は(2 3 4 5 1)
、(3 4 5 1 2)
などと等価です。3点交換(a b c)
を書くうえで、3つの数字は1 2 3 4 5 1 2
と連続しているというルールを使いましょう。
ここでやりたいことは、5点交換を2つの3点交換に分けることです。たとえば
(1 2 3) (3 4 5)
のように書きます。
しかし、上に示した分解は間違いです。理由を知りたい方は、脚注に書いたいくつかのspeedsolving.comの投稿を読んでみてください。あるいは、もっと実用的なアプローチをしたいのであれば、実際にやってみてください!(うまくいきません!)
重要なことは、正しい分解(の例)は次のようになるということです。
(1 2 3) (4 5 1)
(2 3 4) (5 1 2)
(3 4 5) (1 2 3)
(4 5 1) (2 3 4)
(5 1 2) (3 4 5)
つまり、1つ目の交換の最初の数字は、2つ目の交換の最後の数値と同じでなければなりません。
順序が大切であることも忘れないようにしてください。見てわかるように、(1 2 3)
は、後に(4 5 1)
が来るか、前に(3 4 5)
が来るかしかありません。これはどういうことかというと、たとえば、(1 2 3)
を揃えるいいコミュテータを見つけたなら、(4 5 1)
を揃えるコミュテータをその後のどこかで使うか、(3 4 5)
を揃えるコミュテータをその前のどこかで使うか、選ばなければならない、ということです。ここに挙げた交換の組について、同じようにやることができます。
この手法は他のものより速くできますが、「ネストされたインサーション (nested insertions)」、つまり別のインサーションの中にインサートするときには使うことはできません。 そのため、時間がない時にだけ使うか、予備的な分析としてやるといいでしょう。つまり、こうやると何手くらいかかるのかを確認して、2段階目でいい結果になるコミュテータだけをチェックするというやり方です。
2.4.6 複数インサーション: 5つのエッジ(Multiple Insertions: 5 Edges)
通常、5点交換の場合でもエッジのケースは避けることが望ましいです。それでもやるなら、コーナーについて説明したのと同じ手法を使うこともできます。しかし、非常に少ない手数で揃えられるケースが一つあります。5点交換を6手でやるときに
M' U M U'
が使えます。セットアップが何手かかかる場合でも、非常にいいでしょう。どんなケースで使えるのか、派生はどんなものがあるか、調べてみるといいでしょう。これをシフトしたL F L' R U' R'
というものもあります。エッジの5点交換が残ったスケルトンを得たなら、ステッカーに番号を振ってすぐにこの類のアルゴリズムが使えるかどうか調べてみましょう。しかし、探すのにあまり時間を掛けすぎないようにしてください。
エッジの5点交換を揃える別の方法は、3点交換とダブルスワップ(2点交換の繰り返し)を組み合わせることです。たとえば、最初の3点交換で5つのうち1つのエッジだけが揃うならば、ダブルスワップが残ることになります。逆に考えても同じで、最初にダブルスワップをインサートして2つのエッジだけが揃ったとすると、3点交換が残ることになります。このテクニックは最初にエッジの向きを揃えておいたときによい結果をもたらすことでしょう。
さらに発展的なエッジのインサーションについては、3.8節で触れます。
2.4.7 その他のインサーション:2コーナー、2エッジ(Other Insertions: 2 Corners and 2 Edges)
2つのコーナーと2つのエッジがそれぞれ交換するようなスケルトンになることがあるでしょう。(つまり、PLLのJ、T、Vなどです)
このような場合、いくつかの10手アルゴリズムを知っておくと役立ちます。
Fw2 R D R' Fw2 R D' R D R2 (J perm)
Rw' U Rw' U2 R B' R' U2 Rw2 B' (T-perm + ねじれコーナー)
11手のものも多くあります。
R U2 R' U' R U2 L' U R' U' L (J perm)
R2 D B2 D' Fw2 D B2 D' Fw2 R2 U' (J perm)
R2 Uw R2 Uw' R2 F2 Uw' F2 Uw F2 U' (T perm)
R' U R U2 L' R' U R U' L U2 (J perm + ねじれコーナー)
全てを載せたわけではありませんが、このアルゴリズムに加えて、この逆手順やシフトしたものでも2コーナー+2エッジがそれぞれ交換されます。このアルゴリズムの逆手順は全く同じように作用することがわかるでしょう。 つまり、このことを知っていれば新しいアルゴリズムを学ぶことなく、キャンセルする確率が二倍になるのです。あまり多くの手数をキャンセルすることは望めませんが、多くのアルゴリズムを知っていれば知っているほどよいでしょう。
一つ例をあげましょう。次のソルブを見てください。
2C2E Insertion - Example
B' F D2 //疑似2x2x1 (3/3) L' B * R2 //疑似3x2x2 (3/6) F2 D F' D2 F //NISSを使って発見 (5/11) R' D' R D2 F U2 //NISSを使って発見 (6/17) * = B2 L B L' B D2 F' R F D2 //2c2e insertion (9/26)
スケルトンの最後のところはNISSを使って見つけたものなので、ここまで読んだだけでは少し意味がわからないことでしょう。「*
」と書かれた場所には、準最適なJperm B' R2 B R B' R2 F R' B R F'
を挿入することができ、2手がキャンセルして1手になり、最終解答になります。
2.4.8 その他のインサーション:3エッジ、いくつかのコーナー(Other Insertions: 3 Edges and Some Corners)
3つのエッジと、4つか5つ(あるいはもっと)のコーナーが残ったスケルトンが少ない手数(たとえば13手)でできることもあるでしょう。このときエッジ3-cycleのエッジをインサートしていくつかコーナー3-cycleを必要なだけインサートして解くこともできます。
しかし、別のやり方もあります。「セクシームーブ」(R U R' U'
)ではエッジの3-cycleと歪んだコーナーの2-cycleを2回繰り返すことになることがわかると思います。 この短いアルゴリズムやその派生をインサートすることで、エッジの3-cycleをとても効率的に解くことができるのです。もちろん、一回のインサーションでコーナーも完全に揃うのは、4つのコーナーとねじれたダブルスワップが残っているときのとてもラッキーなときだけです。コーナーにこういった影響を与えて、4つか5つかよいコーナーが残るようにする、というのが望み得る最良のことになる場合が多いです。
こういうとき役立つのは「セクシームーブ」だけではありません。ブロックコミュテータもよいツールです。speedsolving.comのこのポストの中で、Cale Schoonはこの類のインサーションについての実例を3つ挙げています。彼の解答はすべてNISSを使っていますが、スケルトンを作るまでのステップは無視して構いません。インサーションだけを見てください。
もう一つのアプローチはreverse NISS(3.3節も参照)です。これは、セクシームーブをインサートすることで何をしているのかを理解する助けになるでしょう。
2.4.9 その他のインサーション: Conjugateをして揃える(Other Insertions: Conjugate and Solve)
訳注:
Conjugateの適切な訳語が思いつかないので保留しています。別の箇所でも書きましたが、数学用語としては共役という意味があります。そのままコンジュゲートとカタカナで訳出してもよいかもしれません。インターチェンジもそのまま使われていますし。
4つのエッジと4つのコーナーがあり、それぞれ4点交換されるとき(あるいはダブルスワップがあるとき)に、一つのインサーションだけで揃えることができる状況というものがあります。このケースは次のように揃えられます。
揃っていない8つのピースをすべて同じ面に集めます(セットアップ)。これで集めた面での単一のムーブで4点交換ができます。そして、8つのピースを元の場所に戻します(逆セットアップ)。8つのピースが2点交換を4つ組み合わせたものであるときにも、このテクニックは使えます。そのときは、「インターチェンジ」は180度のもの、たとえば U2
などになります。もしピースの数が8つちょうどでなかったり、適切な交換ができない場合には、3.3節で説明するreverse NISSをまた使うことができます。
実例を見てみましょう。33
コンジュゲートして揃える Conjugate and Solve - Example
U2 F B' L2 D2 //2つの2x2x1ブロック (5/5) F' * R F2 R' L2 B //4エッジと4コーナー以外完成 (6/11) * = U + L' B L' D L B' L $ U' //4 エッジ (9/20) + = F2 L' B2 L F2 L' B2 L //3 コーナー (5/25) $ = L' D L U L' D' L U' //3 コーナー (5/30)
見てわかるように、この場合のインサーションは、4点交換を揃えているわけではなく、「通常の」インサーションでコーナーが完成しています。ところが、Mirek Goljanがここで提案しているのは、たった一回のインサーションで全てを揃えられるということなのです。そのためには、同じスケルトンの*
部分に次の手順をインサートします。
(B D R2 B R'B2 D U2 F') U (F U2 D' B2 R B' R2 D' B')
この長いインサーションでも同じ結果(30手)になります。
同じようなLast layerのアルゴリズムもいくつかあります。その一つは次のようなものです。
(R B2 R2 U2 R) B (R' U2 R2 B2 R')
その他のアルゴリズムはこちらの投稿34を参照してください。
Here’s one example alg for each relevant OLL case. (Invert the middle move to set up the case.)
(R B2 R2 U2 R) B (R' U2 R2 B2 R')
(L' B2 L2 U2 L') B' (L U2 L2 B2 L)
(R U' R2 D' L) F' (L' D R2 U R')
(R U2 L' B L) U2 (L'B' L U2 R')
(R U2 R' F' L') U2 (L F R U2 R')
(L' F U2 B' R) U2 (R' B U2 F' L)
(found using JACube)
I note there are 5 other 11f* OLLs (besides the ones that flip 4 edges), of which 2 can also be solved with this type of conjugation.
(R' F2 R2 U2 R') F2 (R U2 R2 F2 R)
(R' U F2 D' F) U2 (F' D F2 U' R)
2.4.10 手数カウント(見積もり) (Move Count (an Estimate))
ここでは、普通のインサーションにおいてどのくらいの手数がかかるのか、見積もってみましょう。数学的に証明したわけではないヒューリスティックな見積もりですし、手数は次のようなことによって決まることを覚えておいてください。
- どのくらい多くのコミュテータやアルゴリズムを知っているか。また、その認識能力。
- スケルトンの長さ。スケルトンが長ければアルゴリズムをインサートする箇所が多いので、より多くのキャンセルを狙えます。(しかし、この理由のために長いスケルトンを選んではいけません!)
見積もりを持つことは、インサーションを探すのに時間をかける価値があるのか、そうでないのかを判断するうえで役に立ちます。もし30手より短い解答を達成したいとして、3つのコーナーが残ったスケルトンを23手で作れたなら、おそらく達成できるでしょう。25手だったら、少し幸運が必要です。
異なるスケルトンで比較することもできます。18手かかる4コーナーのスケルトンなら、25手かかる3コーナーのスケルトンよりよいでしょう。
参考になる数字を出しておきます。35
インサーションの種類 | 手数 |
---|---|
コーナー3-cycle | 5/6 |
エッジ3-cycle | 7 |
2つのねじれたコーナー (2コミュテータ) | 8 |
3つのねじれたコーナー (2コミュテータ) | 9 |
4コーナー(ダブルスワップ) | 9/10 |
4コーナー(3コーナー+1ねじれコーナー) | 10 |
コーナー5-cycle | 10/11 |
2コーナー、2エッジ(2点交換を2貝) | 10 |
2.4.11 インサーションファインダー (Insertion Finder)
Baiqiang Dongによって開発されたInsertion Finder36は、インサーションを探して解答の中で何かを見逃していなかったかを確認するために役立つツールです。スケルトンを与えると、最大で4つのインサーションを探すことができます。
特に、3コーナーや3エッジなどの簡単なケースで役に立ちます。複雑なものについては、人間には発見不可能(あるいはとても困難)な解答を見つけることがありますから、利用は自己責任で!
訳注:
インサーションファインダーを使うと、自分が見つけられなかったインサーションを見つけることができるので、自分のFMCのソルブを振り返るときに使うといいでしょう。下記に出力される画面の例を下記の追加します。インサーションに使われる記号はなぜか絵文字なのでかわいく見えます。
インサーションファインダーの出力画面例
2.5 EOから始めよ (Starting with EO)
ZZでのソルブのように、全てのエッジの向きを揃える(Edge Orientation, EO)ことからスタートするのはいつも頭に入れておくべき可能性でしょう。このチュートリアルの初版のころから、自分のソルブの中で何度も繰り返してこのやり方を使ってきました。試技の一番最初にはまずノーマルスクランブルと逆スクランブル全てのEOを探して、試す価値があるのかを見ていました。(多くの場合)試す価値はあります! 2.1.7節で書いたように、多くの著名なFMCerがEOから始めています。
エッジの向きを揃える方向という点から言えば、エッジには3つの向きがありうるのです。 F/B軸 (<R, L, U, D>を除く)、R/L軸、そしてU/D軸です。通常のZZのソルブをした場合、それぞれについて4つの異なる向きでF2Lを作ることができるでしょう。EOから始めるのが好みではなくても、(カラーニュートラルの)ZZを練習してEOの認識を成長させましょう。
さて、ここからはZZとは違ったやり方に取り掛かりましょう。
訳注
FMCにおけるEOとは何か?については、うえしゅう氏の記事に詳しく記述があります。
FMCにおけるEOについて(加筆修正版) - uesyuu’s Blog (2018年11月12日)
2.5.1 EO + ブロックビルディング
全てのエッジの向きを揃えたら、次はブロックビルディングに進むのが一般的です。利点は 悪いエッジ(“bad edge”)が全くないということです。 しかし、EOを崩さないようなムーブをしなければなりません37。これは比較的小さな制約です。
ある向きでキューブを持ったときに、エッジの向きを揃えるよい方法を複数知っているでしょうから、EOのステップでは可能な限り多くのペアやブロックを作ることを心がけましょう。別のアプローチは、2x2x2ブロックなどを作るときにEOにも注意を払いつつ、ブロックができてからエッジの向きを揃えるというやり方です。
ヨーロッパ大会2010でのGregorz Łuczynaのソルブを見てみましょう。まずキューブを好みの向きに回転させているということがわかるでしょう。こうすることで、カラーニュートラルでなかったとしてもブロックを見つけるのが簡単になりますが、私個人としてはあまり好きなやり方ではありません。5.1節では解答の書き方について詳しく書いています。
EOファースト - Example 1
x y2 L2 D F' //EO (3/3) R L2 D * //EOLine (3/6) R' U2 B2 R2 B2 //2x2x3 (5/11) L2 U' R' U L U' L' R U2 L' U' //3コーナー以外完成 (11/22) * = D2 R' U' R D2 R' U R //3c (4/26)
別の例を見てみましょう。João Pedro Batista Ribeiro Costaが世界大会2015で最初に行ったソルブです。平均25.67手を出し、優勝しました。
EOファースト - Example 2
U2 R' U2 * R' //EO (4/4) B F2 U2 F //疑似2x2x3 (4/8) (B L2) //2x2x3 (2/10) B2 U' B2 U' B2 U' B2 U' B' U //3コーナー以外完成 (10/20) * = U R' D2 R U' R' D2 R //3c (6/26)
このソルブ実例では2つの短くて良いEOステップがありました。しかし、長いEOしか見つからないときには諦めるしかないわけではなく、より多くのブロックができるなら使えます!
2.5.2 ドミノリダクション (Domino Reduction)
エッジの向きを揃えることは、キューブの持ち替え(rotation)を法とする<R, L, U, D>のムーブによる部分集合への還元 (reduction)とみなすことができます。<R, L, U, D, F2, B2>と考えても等価です。 言い換えると、エッジの向きを揃えることでキューブをR
, L
, U
, D
, F2
, B2
だけで解ける状態に変換してしまうことができる、ということです。
このような考え方をすると、<U, D, R2, L2, F2, B2>のムーブによる部分集合に還元させるやり方も可能となります。そのためには下記のことが必要となります。
- E列のエッジはE列に配置する
- コーナーの向きを揃える
このような条件が満たされる還元を「ドミノリダクション (Domino Reduction)」(略して 「DR」)と呼びます。これは、ルービックキューブを3x3x2のキューブ(Domino Cube、Rubik’s Dominoとも言う)とみなして解けるようにすることから名前がついています。
ここ最近、2018年から2019年にかけて、ドミノリダクションの人気は高まってきました。この手法を単独で使うだけでもよい結果を安定して出すことができるということがわかってきています。
ドミノリダクションに関するよいチュートリアルを書こうとすると、非常に長くなるので別のドキュメントが必要になるでしょう。実際、作られました。もしこの手法に興味があるなら、Alexandros FokianosとTommaso Raposioによる素晴らしいチュートリアル38を読むとよいでしょう。この中で、特に重要な考え方については付録Dにまとめています。
訳注
このDomino Reductionに関するチュートリアルは2019年8月に公開されました。原著者のSebastiano Trontoも協力しています。フォーラムの投稿はこちらです。
A Domino Reduction Guide for FMC by Alexandros Fokianos, Tommaso Raposio
Per Kristen Fredlundによる実例を見てみましょう。
DR - Example 2
R' B U' D F //EO (5/5) L' F2 L //Domino reduction (3/8) D2 L2 F2 D F2 D L2 U' R2 D2 R2 //完成 (11/19)
訳注
日本語でのDomino Reductionに関する記事としては、Rami氏のアドカレ記事があります。
Domino Reduction 入門編 - きゅーぶぶろぐ (2019年12月02日)
2.5.3 部分的ドミノリダクション (Partial Domino Reduction, PDR)
古典的PDR
部分的ドミノリダクション (Partial Domino Reduction, PDR)の考え方を最初に提案したのはAlexandre Campos39です。これは、EOを2つの軸に対して揃えることで、いくつか揃っていないコーナーのあるドミノリダクションの状態に持ち込む、という考え方です。また、最初のアイディアには含まれていませんが、PDRという用語は部分的DRの中でも特に 「全てのエッジとコーナーの向きが揃っているが、E列のエッジが全てE列にあるわけではない」 という状態を指すものとして使われます。
たとえばF/B軸を考えてEOを揃えたあと、L/R軸などの別のEOを揃える、という風に進めることができるでしょう。この2つ目のEOステップを「E列のエッジをE列に配置する」と見なすこともできます。これはDRのソルブでやることと同じですが、コーナーは無視しています。1つ目のステップで揃えたEOをそのままにして置きたいので、F
やB
などの1/4回転のムーブは2つ目のステップでは使えません。
2つの軸に対するEO(PDR)を考えるなら、まずブロックビルディングをしてから、ドミノムーブ(<U, D, R2, L2, F2, B2>)だけを使って揃えられるスケルトンを作るのが自然なやり方でしょう。こうするとEOが崩れることはありません。
しかし、制約もあります。ドミノムーブだけを使う場合には、向きの揃っていないコーナーを揃えることができないのです。ですので、このコーナーを揃えないままにしておいて、後からインサートして揃える必要が出てきます。こうならないようにするために、向きの揃っていないコーナーをたくさん残しておくべきではありません。
AlexandreはDRのソルブ例をいくつか収集しています40から、そのうちの一つを見てみましょう。
古典的PDR - Example
D' * R' U' F + //EO (4/4) L R2 U R //PDR4 (4/8) D F2 D2 B2 //Corner line + edge line (4/12) U2 L2 D R2 U //AB5C (5/17) * = D' R' U2 R D R' U2 R //(8-4/21) + = F2 R B2 R' F2 R B2 R' //(8-2/27)
EO+CO PDR
別の種類の「PDR」は「見せ掛けのDR」とでも呼ぶべきアプローチです。これに対して、上に書いたような古典的なPDRは「EO+ブロックビルディング」のアプローチに近いものです。
EOを揃えたあと、DRを作るのと同じようなアプローチでコーナーの向きを揃えることができるでしょう。その後で、コーナーを揃えてエッジだけが残ったスケルトンを作ることができます。こうするといいことが起こります。DRとしてはあまりよい状態ではありませんが、EOが揃っているならエッジのインサートは非常によいものになります。特に、3.8節に書くような発展的なテクニックを使うとよいでしょう。
EO+CO PDR - Example
F D R2 U' F' //EO (5/5) R' //Lucky CO (1/6) F2 B2 U2 R2 D U2 * B2 D U' //3e+3e left (9/15) * = U R2 U' F2 B2 + D L2 D' F2 B2 //10-3/22) + = U' L' D2 F2 D2 L' U D L2 D' //(10-6/26)
2.6 その他の簡単な戦略(Other Simple Stragies)
2.6.1 戻ってやり直そう(Go Back and Change Your Solve)
よいスタートを切ったあとで詰まってしまったら、「そこまでのソルブを一手ずつ見ていく」ということをしてみましょう。 まだ揃えていないピースしかない面が、少なくとも1面、出てくるのを探しながらやってみましょう。見つかったら、その面を動かしてみましょう(すでに揃えたブロックは崩れません)。可能性は3種類(U
、U2
、U'
など)あります。こうすると、元々のものよりほんの少し(1手)だけ長くなって、3通りのスタートが得られるでしょう。次へのつながりがよくなるなら、たった1手は安いものです!
自由に動かせる面が2つ見つかったなら、もちろん両方使ってみても構いません。追加するムーブはランダムなものでよいですし、そうしなくてもよいです。新しいペアができたり、EOがもっとよくなるのなら、それで十分です。しかし、何手か追加してもすぐにわからず、しばらく進んでいってようやく何が起こったかわかることもあるでしょう。
2.6.2 幸運を手に入れろ! (Get Lucky!)
当たり前ですが、幸運は学べるスキルではありません。しかし、FMCにおいては幸運を求めるべきなのです。 LLスキップで終わる「単純な」ソルブは、複雑でアンラッキーなものと同じくらい価値があります。つまり、可能な限りたくさんの代替案を試してみるのがよいということです。10回や20回だけやってみるよりも、100回やったほうがスキップする確率は高くなります。
訳注:
LLスキップを引き当てる幸運値はトレーニングできませんが、LLのアルゴリズムやサブステップをたくさん知っている人ほど、その確率を高くすることができます。開眼3x3x3のスキルはFMCには直接影響しないと言われますが、速い人はそもそもたくさんのアルゴリズムを知っていて、制限時間内に何度も試行錯誤をすることができるので、有利かもしれません。他の競技を学ぶことでFMCに生きてくることがある、というのは面白いですね。たとえば、原著者であるSebastiano Trontoは目隠し競技の達人(3x3x3目隠し、4x4x4目隠し、5x5x5目隠しのイタリアNRホルダー)でもあります。
一つ目の例: 最後のペアをインサート(First Example: Insert Last Pair(s))
F2L-1が完成したあと、最後のペアをインサートすることでF2Lが終わります。これは、幸運が振ってこない限り、あまりよいやり方ではありません。幸運を引き当てるチャンスを高めるには、考えうる全ての方法で最後のペアをインサートしましょう。
たとえば、最後のペアが既にできているとすれば、少なくとも3つの違う方法でインサートすることができます。U R U' R'
、U2 R U2 R'
、そして R' F R F'
です。VHF2LやZBF2Lのアルゴリズムをいくつか知っていれば、スキップを引くチャンスを高めるのに役立つでしょう。しかし、単に暗記するよりも、どういう仕組みでうまくいくかを学ぶとよいでしょう。
ペアをインサートする別の方法の例として、次のソルブを考えてみましょう。(このスクランブルはGerman Forum Competitionのもので、premovesを使わないようにしたものです)
Insert Last Pairs - Example
U2 F' U' //2x2x2 B' D B //2つのエッジの向き合わせ D2 L D2 B2 //2x2x3 + 6 ペア B' //ペアを一つ保存 (F2L on R) L F L' F' //別のペアをインサート B D L' D' //保存しておいたペアをインサート U' L2 U L U' L U L' //Last Layer
このとき、最後のペアのインサートをどうやって選んだかというと、最後にPLLスキップをしたからです。ところが、実はもっとよいインサート方法があって、Cube Explorer (PCのソフトウェア)見つけたものがこちらです。
訳注:
元々の解答の27手でも十分すごいのですが、ペアの保存方法と最後のインサート方法を変えることで、20手の解答ができました。上記に示すように、U R U' R'
、U2 R U2 R'
、R' F R F'
といった手順を順番に試してみるだけでも価値はあります。
Insert Last Pairs - Example
U2 F' U' //2x2x2 B' D B //2つのエッジの向き合わせ D2 L D2 B2 //2x2x3 + 6 ペア B' U' //ペアを一つ保存 (F2L on R) L F L' F' //別のペアをインサート L U L B //保存しておいたペアをインサートして、スキップ!
二つ目の例: アルゴリズムの使い方(Second Example: How to Use Algorithms)
まず最初に対称なアルゴリズムを識別できるようにしておきましょう(もっと正確にいえば、対称なケース)。つまりF R U R' U' F'
で揃うOLLはSプレーンについて対称なので、同じケースはB' R' U' R U B
でも揃います。もし使いたいのであれば、対称なケースも使えるようにして、スキップ(あるいはよいケース)のチャンスを二倍にしましょう。
このトリックがうまくいくのは、二つのアルゴリズムは同じOLLケースを揃えるためのものであって、ピースの交換に異なった影響を与えるものだからです。しかし、CLLについては少し違います。同じCLLケースを揃えるアルゴリズムがあって、コーナーが揃わないなら、ほかのアルゴリズムを使ってもコーナーは揃いません。
極端な例を見てみましょう。R U2 R' U' R U R' U' R U' R'
で揃うOLLを考えます。これと左右対称のL' U2 L U L' U' L U L' U L
を使うことで、同じケースを4つの向きから揃えることができます(ほかの2つは逆手順です)。「2-gen」のLast layerアルゴリズムに当てはまることですが、このアルゴリズムは、コーナーの相対的な位置関係には影響しません。
次に、学んだときの目的と同じようにアルゴリズムを使う必要はありません。F R U R' U' F'
について考えると、おそらくOLLのひとつとして覚えている手順でしょう。ところが、コーナーを無視してこれを使うこともできます。すると、F2L完了時点で2つの悪いエッジ(bad edge)が残っているときに、このアルゴリズムを4つの向きから使うことでスキップするか(あるいは簡単なケースになるか)どうかを試すことができます。
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訳注:ノルウェーのキューバー。2004-2006年にFMCのノルウェーNRを達成。2005年の世界大会でFMC第2位。 ↩
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スケルトンとは、部分的な解法で、いくつかのピース(通常は2つから6つ)を未完成の状態で残しておくものを言います。 ↩
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ソルブのより前の段階で数手をインサートすることで完成させるテクニックです。これもすぐに解説します!もうちょっと待って! ↩
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http://www.speedsolving.com/forum/threads/fewest-moves-tips-and-techniques.1566/#post-16209 ↩
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この解法は二人の競技者によって独立に見つけられたものです。念のため。 ↩
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著名な例はZBLS(ZBF2Lとも呼ばれる)やWinter Variationです。これに限らず非常に沢山あります。調べてみましょう! ↩
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「準最適」とは最良の解法よりも多くの手数がかかる解法のことです。 ↩
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speedsolving.comの投稿による。もちろん、何が「よいスタート」であるかはあなたのレベルによって変わります。ここでの手数は、熟練者を目指す人にとってのよいゴールとなるように考えられています。もしあなたがそこまで上達していないなら、あまり効率的でないブロックを作って進めてもいいでしょう。「よいスタート」を探すのに多くの時間を使わないようにしてください。最終結果だけがカウントされます! ↩
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もっと重要なルールは「決して『決して』と言わない!」ということです。 ↩
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一時間のあいだ考え続けなければならないので、楽をすることは非常によい習慣です。 ↩
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ここでいう「計算する」とはチェスの用語のような意図があります。つまり、チェスプレイヤーは6-8手を「計算して」いると言われています。可能なムーブを考えて、そのカウンタームーブを考えて、総計で6-8手ということです。 ↩
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手数の数え方はHTM(ハーフターン法(Half Turn Method):180度も1手と数える)でもQTM(クオーターターン法(Quarter Trun Method):90度で1手と数える)でもSTM(スライスターン法(Slice Turn Method):Mなどのスライスムーブも1手と数える)でも構いませんが、どの数え方を使うかは先に決めておきましょう!(訳注:一般的にはHTMが使われます) ↩
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3-cycleとは3つのピースによる巡回交換です。たとえば、PLLのA permとU permは3-cycleですし、
L F R F' L' F R' F'
(Niklas)のアルゴリズムも同じです。 ↩ -
たとえば、
U R
という手順の逆手順はR' U'
です。U' R'
やR U
ではありません! ↩ -
例外はあります。たとえば、Tomoaki Okayama (岡山友昭)による次の実例と、そのディスカッションを読んでみてください。https://www.speedsolving.com/forum/threads/the-fmc-thread.13599/page-21#post-440873 ↩
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[A:B]
=A B A'
という記法はconjugate(共役、対になった、結合)を表します。A
という手順はセットアップムーブとも呼ばれます。 ↩ -
これらのケースについては、speedsolving.comでのJackWのスレッドが説明してくれます。https://www.speedsolving.com/forum/threads/2-gen-edge-cycles.56224/ ↩
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大会規則で「無制限の色付きステッカー」の持ち込みが許可されているのはこのためです。 ↩
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ステッカーは3-cycleの動きが1から2、2から3、3から1へとわかるように貼ります。 ↩
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順番を決めるやりかたは他にも同様のものがあります。まずコーナーから始めたり、好きなステッカーから始めたりすることができます。首尾一貫してさえいればよいです。 ↩
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注意事項:もしスケルトンの中に連続した2手の平行な回転(R、Lなど)があるなら、試しに入れ替えてみて、もっといいインサーションができないかを探してみましょう。この実例ではそういうことはありませんが、やってみるまでわかりません。 ↩
-
気を付けること:スケルトンにおいて二つの連続した平行な層の回転があるときには、相互に入れ替えてみて、よりよいインサーションがないかを探すこと!今回はそうではありませんが、決してわかりません。 ↩
-
最後の2手(
U' D
)はE列の中層回転(E'
)と等価ですから、コーナーには影響しません。このムーブをする前後で3-cycleは持ち替えを法(modulo)として同じものです。(この場合はy’/y持ち替え) ↩ -
B2 U' F' U B2 U' F U
もある。 ↩ -
コーナーの2-cycleが2つあるなら、インサーションを2回繰り返して揃えてもよいです。あとの節を参照してください。 ↩
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これは別の何らかの方法で揃える必要があります。もう一回インサーションをする、など。 ↩
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私はコーナーには番号を振って、エッジには文字を振るのが好みです。こうすれば取り間違えることがありません。 ↩
-
http://www.speedsolving.com/forum/threads/the-fmc-thread.13599/page-126#post-1009830 ↩
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コミュテータについて話すときには、「ピース」と「ステッカー」は違うものであることに気をつけましょう。 ↩
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もっと知りたい読者のためには、speedsolving.comのFMCスレッドでのこの投稿から始まるディスカッションが興味深いでしょう。特に、2つ目の投稿では5点交換を揃えるための3点交換の組み合わせを見つける「法則」についての数学的証明があります。3つ目の投稿では、私が本書で行った説明と同じようなことが書いてあります。(私がこのテクニックを学んだのもこの投稿からです)4つ目の投稿にはこの手法を使ったソルブの実例が載っています。 ↩
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https://www.speedsolving.com/forum/threads/the-fmc-thread.13599/page-214#post-1247800 ↩
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https://www.speedsolving.com/threads/the-fmc-thread.13599/page-28#post-488378 ↩
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ほとんどの例はこの投稿からです。 http://www.speedsolving.com/forum/threads/the-fmc-thread.13599/page-42#post-614593。一部、私の個人的な意見を加えて調整しています。 ↩
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もちろん(FMCにおいては)何かをしてはいけないということはまったくありませんが、エッジの向きを揃えてからそれをまた崩してしまうのはあまり賢いやり方ではありません。 望むなら「部分的なEO (Partial EO)」からスタートしてもいいでしょう。 ↩
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https://drive.google.com/drive/folders/1mppifILqu9Bu2phr8zhXGcXasBsSkv_S ↩
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https://www.speedsolving.com/threads/introducing-a-variation-for-fewest-moves.67299/ ↩
-
https://docs.google.com/document/d/1oZwr2aSllFBL5lhbLTiWKQWplfk4i0LN0wA0uskeLJs ↩