イントロダクション - 最少手数競技入門 by Sebastiano Tronto 第三版
ルービックキューブに限らずどんなパズルでも同じことですが、できる限り速く解くということは面白いもの。しかし、さらに面白いのは一番少ない手数で解くということです。これが最少手数競技のゴールです。 最少手数競技はFMCあるいはFewest Moves Challengeと呼ばれます。
公式大会
FMCはWCA(World Cube Association、世界キューブ協会)の公式種目として知られています。WCAはルービックキューブやそれに類するパズルの大会を統括する組織です。FMCに関するWCA大会規則(第E条)に書いてあることをまとめると次のようになります。
- スクランブルの書かれた紙が全競技者に与えられる
- 時間制限は60分
- 以下の道具を使用できる
- 紙(ジャッジによって支給される)とペン(ジャッジによって支給される、任意で競技者が持参)
- 最大3個のルービックキューブ(競技者が持参)
- ステッカー(競技者が持参)
- 解法について
- 解法は外層ブロック手数(OBTM記法)を用いて記述したものを提出する。
- 持ち替え記号(x、y2など)、面操作(R、U2、L’など)、外層ブロック操作(Rw2、FW’など)が許可される。中層回転(M、E、S)は許可されない。
- 持ち替え記号は0手とみなす。それ以外の操作は1手と数える。
- 競技者の解法はスクランブル手順の任意の部分に直接由来してはならない。解法中の各手順の意図を説明できるようにしておかねばならない。
「解法はスクランブル手順の任意の部分に直接由来してはならない」というルールのために、2016年からFMC用のスクランブルには最初と最後にR' U' F
が加えられることになりました。
現在の大会における最高記録は、Sebastiano Tronto(イタリア)による単発16手 (FMC 2019)です。3回の試技の平均では、Cale Schoon (アメリカ)による21.00手 (North Star Cubing Challenge 2020)が世界記録です。2019年の世界大会での世界チャンピオンは、ともに平均25.33手を出したFirstian Fushada (符逢城)とChristopher Chiです。
訳注:
翻訳時点(2020/05)ではShuto Ueno (上野柊斗)が単発19手、平均24.00手の日本記録を保持しています。この単発記録は、Baiqiang Dong (董百强)と並んでアジア記録(AsR)でもあります。
このチュートリアルのゴール
このチュートリアルのゴールは、FMCでよい結果を出すためによく知られたテクニックをまとめることです。 いくつかの説明は詳しく記述して実例もつけていますが、単に総合的な説明を記述するだけの箇所もあります。代わりに学習のためのリソースをつけています。
公式スクランブルシートの例